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2018.01.13 本を読むひと
アリス・フェルネさんの小説です。
小説なので、当然フィクションなんですが、
描写にリアリティーがあって
ノンフィクションかと錯覚します。

元看護士で、今は図書館員になっている
エステールという女性が
街外れに住みついたジプシーの一家の元へ
読み聞かせをしに行くんですが、
差別され、迫害される状態が常の彼らは
最初、エステールを信用しません。

けれど、毎週通ううちに
一家の長であるアンジェリーヌばあさんに拒絶されなくなり、
読み聞かせが出来るような状態になって行きます。
私自身は読み聞かせをしてもらった記憶がないので、
その威力?と言うか、影響力を実感することはないんですが
この小説の中、
読み聞かせを始めてから、ジプシー一家が心を開いていく速度が
格段に早くなって行く様子が印象的です。

映像がないにもかかわらず、耳から聞いた音だけで
想像の翼を広げることが出来る彼ら。
鈍感でも、愚かでもないことがうかがい知れます。

だけど、差別され、迫害されるんですよね。
定住地を持たない彼らの住処はキャンピングカーで、
流浪の民である彼らは、戸籍すらなく
つまり、彼らの生活をフォローするいかなる制度からも
見放されているような状態。
その結果、学校に通うこともなく、従って算術も出来る筈がなく
文字も読めるようにならない。
つまりは、まともな仕事もなく、窃盗などで生活を立てることになり
そのことが、更に彼らを孤立させていきます。
典型的な負のスパイラルです。
彼らにあるのは、ジプシーとしての誇りだけのよう…。

被差別民である彼らにとてもショッキングな事件が起きて
その理不尽に憤り、エステールはある行動を起こすんですが…

生きるってどういうことなんだろうか、と
文化的に生きるってどういうことなんだろうか、と
なんだか小難しいことを考えてしまいます。
家族の絆のあり方とか、も。
幸せと言うと捉えどころのない概念についても
考えずにはいられません。

文盲のジプシー一家にとって、エステールは確かに
恩寵であろうと思いますが、
エステールにとっても、深く得るものがあったのかな?
それが原題の『恩寵と貧困』に表されているようです。

う~~~~ん。
小難しいこと、考えちゃうなぁ。
私やっぱり理屈っぽいのかなぁ…


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