これもまた、 ”books A to Z” で知った1冊です。
ジョージ・ソーンダーズさんの書かれた物語で、寓話…だと思います。

登場人物たちのイメージ…
『ドラムカンナの冒険』って人形劇を思い出します。
その話では、主人公のカンナは、元々は普通の人間だったけれど、
何故か理由も分からないまま、ゴミですべてが構築されている
ゴミリーヒリズに落ちてしまい…って話で、
当然のことながら、登場人物たちはすべてゴミの寄せ集め。
この話に出てくる人たちも、そんなよく分からないものを
寄せ集めたような体をしています。

そんな、冗談のような登場人物たちの話ですが、
なんともはや…
まーーーーーーーったく笑えない話でした。
もう… なんと言うか、リアルで。 ^^;

出てくるのは、内ホーナー国と、外ホーナー国
それに大ケラー国の3国。
内ホーナー国は小さな小さな国で、1度に一人しかその国内に
いられないほどの大きさ。
なので、順番に自国に入れるようにしているんですが
その間、他の国民たちは、一時滞在ゾーンと呼ばれる
外ホーナー国の領土に肩身の狭い思いをしているしかありません。

領土問題と言うのは、どうやら、作り物の世界の中でも
現実の世界でも火種となりうるようで…。
その領土問題を言いがかりのきっかけにして
平和の均衡が瓦解します。

幼少の頃の不幸を逆恨みして内ホーナー人たちを迫害しまくるフィル。
あれ??? これって、あのジェノサイドにそっくりでは?
激しく既視感があります。

簡単なことを、言葉を弄ぶようにしてこねくり回し、
頭がよさそうな雰囲気を作り、やがて大統領の座も簒奪するフィル。
なんかこれも… どこぞの国のリーダーにいませんでしたっけ?
ここまであからさまに内容がないってことはなかったけど
コピーライターもかくやの端的物言いでの自己演出、見た気がするんですが。 ^^;;

もしくは、やたら、自分たちの国民性を持ちあげ、優越感を煽るとか、
国境に有刺鉄線張っちゃうとか
ちょっとでも、自国にはみ出そうものなら、税を取るぞ、とか
あまりにも近々に聞いたような言葉で、
もう、愕然とするしかありません。

ネタばれしちゃうと、この話は


バベルの塔とかノアの方舟とかの伝説とよく似た
御破算に願いまして~は~ 的なことが起こります。

でも、人類が学ばないのと同様なレベルで
学ばないんだよねって言うような、イヤな予感を含んだ終わりになってます。

おっそろしく、ステレオタイプに仕上げた独裁者像と
おっそろしく、単純化した世界
そして、実は誰の心の奥底にも眠っているエゴイズム。

ただの寓話と片付けるのは、あまりにリアルで空恐ろしい話でした。
でも、 ”books A to Z” でも言われていたように
今こそ読むべき1冊と言う気がします。


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