有沢佳映さんの書かれた児童書です。
これも、 「books A to Z」 で紹介されている1冊ですが
放送をリアルタイムで聞いて知ったのではなく、
このコーナーを受け持たれている北村浩子さんの
トークイベントに伺ったときに知った作品です。

話は単純明快。
11月15日(月)から12月23日(木)までの…
いや、後日談めいたところまで含めるなら、
翌年の4月7日(木)までの小学生の登校班での様子を描いたもの。
ただそれだけ。

それだけ… ではあるんですが、
なんとも形容しがたい感情を呼び起こします。

班長の ”かさねちゃん” は小学6年生なんですが
落ち着いていて、物知りで、ファンタジーによく出てくるような
「賢者」を思わせます。
そんな女の子なので、登校班のメンバーに所謂 「問題児」を
入れられています。
お母さんたちからの信頼も絶大。
先生をして、「凄腕の運び屋」と言われるほど優秀な班長さんです。

物語は、そのかさねちゃんより1学年下の男の子の視点でつづられます。
かさねちゃんへの尊敬、それから、本人も気づいてないかもしれない淡い恋心…♪
それと、個性的な、いえ、個性的すぎる班のメンバーに抱くちょっとしたげんなり感(笑)
日々出会う犬とか、近所の人たちとか、道端のお地蔵さんとか
何気ない、特別じゃない毎日のことを
口に出す言葉と、心の中の言葉とを織り交ぜて進みます。
班の集合場所から、学校へ着くまでのシーンのみで。

問題児たちを魔法のように無事学校へ連れて行くかさねちゃん
まさに凄腕です。
確かに、年齢が行っていないほど、年齢差と言うのは際立つもので、
たった2つしか違わなくても、その2歳上の先輩がとてつもなく大人に見えたり
するものですが、
かさねちゃんに至っては、ちょっと特別かなぁ。
大人から見ても、そうとう大人っぽいです。
タダモノじゃない。

そんなかさねちゃんを中心に置いて交わされる会話は
取りとめなく、脈絡なく、子供らしいはっちゃけ具合。
起承転結的に進むことはこれなく、
まんまるに巻いた毛糸玉が解けながらころころ転がっていくイメージです。
でも、そのカオス加減が、なんか懐かしく、心地いいのは
かつて自分が子どもだったから…かな。

班のメンバーの一人
もしかして、学習障害児かな~と思える男の子に見に問題が起きて
話の山場がやってきます。

ちょっと厄介だな~と思ってはいても
その男の子のこと、班のメンバーが嫌ってわけじゃなく、
ちゃんと班のメンバーとして認めていて、仲間意識があるって
なんか、子ども独特かも。
気まぐれな神様に近いんだろうな、子どもの心って。
ちょっとぐっときました。

語り手の男の子は、次の年には班長になることが決まっていて、
自分は、かさねちゃんのようには出来ないと不安を抱えているんですが、
この男の子には、この子なりの美点はやっぱりあるようです。
自分の美点って、気が付きづらいんだな~やっぱり。
そして、その美点を指摘されても、それが本当の自分じゃないような気がしたり
買いかぶりすぎだと思ったりするのは… 日本人ぽいのかも。



郷愁とともに、ちょっときゅんとしたい方にお勧めです。



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