2016.03.24 愛のようだ
books A to Z” で紹介されていた1冊で
トークイベントでも紹介されていた長嶋有さんの1冊です。

4エピソード(+α)、すべて車中での話なんですが、
それぞれのエピソードで同乗しているのは別の人です。
語り手である主人公は戸倉という40歳くらいの男性。
そして、主に戸倉氏と車中乗り合わせているのも男性です。
男子校や女子校は通ったことがないので確たることは言えませんが、
そこって、こんな雰囲気じゃないかなぁ。
車中のノリはだから、男しかいないが故のリラックスした感じが漂います。
それゆえ、読んでるこちらも寛いで読み進めちゃいます。
それぞれのエピソードが明るくないにもかかわらず、です。 ^^;

車内で交わされるどうってことない軽口や、流す音楽も
私には、ほぼ分からないんですが、空気感は分かるんですよね~。
自宅で、上下スエットでいるみたいな雰囲気と言うか…
とにかく、異性には見せない気取らない感じ♪ ね!

行き先は、4エピソード、それぞれ別の場所です。
で、その目的が案外暗くって
1話目が友だちとその恋人の癌の快癒祈願にお伊勢さんへ行く話。
2話目が友だちの彼女(失踪中?)が妊娠出産して、自分の子かどうか
確認しに行く話。
3話目が取材旅行なんだけど、葬儀に出席する仕事仲間を乗せての道行き。
4話目が漫画家デビューを目指して出品していた作品が見事落選して
落ち込みまくっている友だちを慰めに行く話で、
途中、同乗者の友だちが失恋して大騒ぎするおまけ付きになる話。
それに、プロローグと、インターミッションが2話と、エピローグが付きます。

旅、ですよね。
車の旅。
線の旅をしていく話です。点の旅じゃなくて。
目的地はあるけれど、目的地についての描写はほとんどなくて、
その目的地へ行くまでの間がひたすら描かれます。
小学生の夏休みの宿題なら、ペケもらいそう!(笑)
行った先のことが書いてなくて、その途中のちょっとだらっとした空気だけ
が書かれているなんて、紀行の作文ならね? ダメって言われそうでしょ?
でも、実は、目的地よりもその過程が大事なのかもしれない。
修学旅行で、奈良や京都に行くけど、
そして、それはとっても重要な学習なのかもしれないけど、
そんなことより、友だちと一緒に過ごすってことが
生徒にとっては大事なことなんだもの… (少なくとも私にはそうでした)

主人公は、既に大人で、だから 『・・・999』 のような
大きな成長を遂げちゃうわけではありません。
だけど、確実に時が流れる分、何かが変わります。
人と交わっていくと言うことは、そういうことなのかな…
ちょっとずつ影響し合って、ちょっとずつ変化し合う。
でも、ほら、大人だから!
そんな急激には変われなくて、うじうじイジイジした部分を無くせなくて
後悔するようなことにもなったりするのだけど。

空気のように自然な何気ない話でした。
が。
イベントでお話聞いちゃんたんで
この話の何気なさが、計算しつくされているというあざとさ(笑)
を感じちゃいました。
う~~ん。やっぱり、作家さんてずるいなぁ…



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