またしても(?) books A to Z で紹介されていた1冊です。
太田直子さんという映画字幕翻訳家の方の書籍です。

タイトルから想像できるように
字幕翻訳家としてどう仕事をしているのかってことが
分かりやすく、テンポよく、ちょっと毒気もありながら綴られています。

や~~~~、プロだ。プロフェッショナルだ。
もう、読み終わって感じたのはそれです。

”日本語のプロ” と言う言葉からふと思い付くのは、
まずは… 小説家、エッセイストですかね?
それから… 日本語を研究する学者さんとか、国語の先生かな。
そうそう、アナウンサーさんも日本語のプロと言っていいでしょうね。

でも、映画にしろ、書籍にしろ、翻訳家さんについては
あまり日本語のプロだと考えたことはなかったなぁ。
お世話になってるくせにね? 失礼しちゃいました。


さて、内容ですが。

筆者の太田さんは
字幕なんて、スクリーン上では映画を楽しむのを邪魔する傷だとおっしゃる。
だけど、
その字幕をつけると言う仕事に関しての矜持を文章のそこかしこから
ビシバシ感じます。

それゆえに
特別感なくこんな風にブログやSNSに誰もが文章を推敲することもなく
垂れ流しているような状態をちょっと苦々しく思い
近頃流行りのバラエティー番組でつけられる乱雑な字幕(?)に
ドン引きされてる様子も感じ取れます。

   ガビーーーーン…
   垂れ流しかぁ。
   そうだよなぁ。大変申し訳ないです。
   それ、やっちゃってます。
   日本語を荒らす一端となっております。
   すみませんです。

閑話休題

と、そういう誇りを持って仕事をなさる職人さんのお仕事の様子は
何にも知らない人から見ても、相当に興味深いです。
依頼から出来上がりまでの流れが書かれているのは当然ですが、
(コンマ何秒単位の攻防とか、目眩しそうなほど面白いです!)
大抵並行して仕事を請け負っていると言うのは驚きでした。

受注から試写まで大体半月、翻訳に掛ける期間は1週間
という短期間の作業だと言うことにはもっと驚きます。
そんな短い期間で、世界でも最高水準と言われる字幕をつけるとは。
驚くべき技量です。
勿論それは、翻訳家さんだけの努力ではなく、
チーム全体がすごいんでしょうけれどもね。

それにしても。
翻訳って難しいですね。
以前よく大姫には言ったんですが
Aの言葉をBの言葉に完全に訳すと言うのは無理があります。
物事の捉え方とか、生活形態とか、気候もそうですね。
とにかく、文化が違うと言うことは、全ての発想の基盤が違うと言うこと。
Aの言葉には表現する単語があったとしても
Bの言葉には置き換えるべき言葉がない
なんてことは、よくあること。
タブーにも違いがあるし、従って、許される冗談の範疇も違ってきます。
(と、私は思ってます)
そういうもろもろのことをクリアした上で翻訳は成り立つんですもんね
容易いはずがない。

言葉は生き物なので、時とともに変化(へんげ)していくものですが
同じ言葉であっても、ひらがなにするか、カタカナにするか、漢字にするか
で、持つ意味合いすらも変わってしまったり
本来の言葉の意味から全く違った意味に姿を変えてしまったり
流行語の栄枯盛衰があって、そういうことも悩ましかったり。

更に、映画翻訳の場合は、文字数に制限がある!と。
それゆえに、名訳と呼ばれる字幕もあったりしますが、
しゃべり言葉は早いですからね。
総じて、少し舌足らずにならざるを得ないのですね。
吹き替え版にすると、大分元々のセリフの情報量に近づけられると
聞いたことはありますが、
それでも、字幕が好きだなぁ、私は。

それは、こんな言葉を研ぐようにして
セリフを取捨選択して頑張ってくれている翻訳家さんありき
ですね。
外国映画は字幕で見るのが好き♪
と言う方には、特にお薦めの1冊です。




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