2015.12.16 母と暮せば
あぁ、そうか。
戦後70年だったんだっけ、今年って。
なんてことを考えています。

なぜなら、そんなことを思い出させてくれる映画を観てきたので。

山田洋次監督初のファンタジーだそうで…。
でも、ファンタジー… なのかなぁ。
なのか。
鬼籍の人と仲良く暮らしているあたり。

舞台は1948年の長崎。
終戦から3年後の物語でした。

戦後、随分経ってから生まれているので
正確に、戦禍の悲惨さを知らずに育っています。
それは、いくら当時の写真を見せられても、映像を見せられても
音声を聞かされても、
経験者にたくさん語っていただいても
身をもって知ることはできません。(はい、ありがたいことに)
今現在も、所謂 ”戦地” から遠くに身を置いていますしね。
(はい、申し訳ないことに)

だから、私はそういうことを語るべき言葉を持ちません。
持たないけれども、訴えるものがあれば
耳を傾けることは出来るかなぁと思っています。

映画は、穏やかで静かでささやかな物語でした。
極々普通の家族のお話なんです。本来ならね。
お父さんは病死してしまったけど、助産婦しているお母さんと、
お医者さんの卵の息子と、その恋人。
それから、気のいいご近所の人の
どこにでもあるような、普通の生活の物語。
ただ、違うのはその普通の生活の上に原爆が投下されたことだけ。

その一点しか違わないのに、でもそれが、決定的な違いで。

普通の人は、ただ普通に生きていたかっただけだった。
普通に生まれて、普通に育って、普通に仕事について
普通に結婚して、普通に子供を授かって
普通にその子を育てて、普通に老いていきたかっただけ。
なのに。

普通の人が願う、ささやかな幸せを
異常事態が押しつぶしていくその理不尽。
それを、声高にじゃなく
静かに落ち着いたトーンで淡々と描いていく映画は、
ヒステリックな主張でないが故に、却って切なくなります。

大切な人を傷つけられるのは、辛いことです。
そんなの、宗教が違っていても、国籍が違っていても
年齢が違っていても、性別が違っていても同じでしょ?
”自分がされて嫌なことは、人にしない”
と言う、極シンプルなルールに従うなら、
傷つく人の数は、だいぶ減りそうな気がするんだけど…。
なくならないんだよね。戦争って。




悲しい。






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