やっぱり(?) 「Books A to Z」の紹介で知った1冊です。
櫻部由美子さんのデビュー作とありました。

おとぎ話のパロディーと言うのはどれも興味深いです。
まず、原作ありきなので、
短歌の本歌取りのように、おのずと奥行きが出るでしょ♪♪
”シンデレラ”もね~、シンデレラ・シンドロームって言葉があるように
題材に持ってきやすいのでしょうか。
『シンデレラ迷宮』とか、『シンデレラ王妃の幸福な人生』とか。
他にもあったっけかなぁ…
(正確に言うと、『・・・迷宮』のほうはシンデレラ自身は出てきませんが)

この本も、少しシンデレラのパロディーかな。

物語は、魔女の処刑から始まります。
街中、公開火あぶりの刑で沸き立つ中(あぁ、下衆の極み…)
一人の美少女がその街を脱出していきます。
激しい呪詛の言葉を吐きながら。
この辺、わたなべまさこさんの『天使と挽歌』を彷彿とさせます。
で、このシーンから、この物語がどんだけ捻じれた話なのか
と言うことを予感させます。

ギクッとするそのプロローグが終わると
本篇が始まるわけなんですが、雰囲気ががらっと変わります。
片田舎のさびれたお城が舞台となって、
そのお城を甥っ子に引き渡さなければならない未亡人一家に
スポットが当たります。
まぁ、ハッピィな感じはないですが、のーんびりとした雰囲気が漂います。

四十代半ばとは言え、美貌のティナ夫人と
その娘のヒルダとマリエッタ。
残念ながら、娘は二人とも母親の美貌は継いでないですが、
それ故に、一人でも生きていかれるように特技を身につけています。
この一家が片田舎から、街の豪商へとお輿入れしていきます。

豪商モルトー氏へ輿入れするのは母親のティナ夫人。
モルトー氏には病身の一人娘アンジェがおり、これがとびきりの美少女。
継母と、その連れ子の醜い姉娘たち。
構図としては、本篇シンデレラにそっくりです。
ただ違うのは、姉たちが義妹をとても可愛がることと
アンジェも継母も含めて、新しく家族になった人たちを大好きなこと。

そういうバックグランドを下敷きにして、物語は展開していきます。
シンデレラを名乗る謎の美女も出てくるし、
剣呑な連続殺人事件も起きるし、
ビジューをちりばめたんであろう”ガラスの靴”も2足出てくるし、
(そうだよね~、ガラス製の靴じゃ履き心地悪いもんね)
エリザベート・バートリを思い出させることや
『ポーの一族』もちらりと頭をよぎったりとか
なかなか、サスペンスフルでハラハラしながら読めます。

『シンデレラ』も『長靴をはいた猫』もペローの編纂で有名ですが、
長靴をはいた猫でお姫さんの結婚して幸せになった”カラバ公爵”が
この話にも重要な役回り出て敵ます。
”うすのろハンス”とかね、随所でクスッと笑わせてくれる仕掛けもあります。

美女だの、美少女だのがたくさん出てくる中、
物語の真ん中にいるヒルダとマリエッタの姉妹は
美女ではないが故の輝きを放っているのが、とてもいいんです。
シンデレラ・シンドロームの真逆をいきます。
自分にちゃんと実力を下地にした自信があるところがいいんですよ。
万事控えめなティナ夫人も魅惑的だけれども、
この姉妹、アンジェじゃなくても好きになるわ~~~♪

物語の最後、全ての謎がつまびらかになって、
何もかもが収まるべきとろへ収まっていきます。
その辺はスッキリ。
驚きのどんでん返しだったりもするんですけどね。
でも、想像の範疇だったのは…、ちょっと物語に触れ過ぎの人生だからかなぁ。

ただ…、冒頭に出てきた美少女の取り扱い方は、
若干、雑だったような…。
そこだけが、ちょっと引っかかりました。

が。

そのことをも吹き飛ばす、最後のティナ夫人のセリフ♪
えぇぇえぇ~~~~!? そうだったの!? ってね。
おとぎ話は、いつでも
”みんな幸せに暮らしましたとか、めでたしめでたし”。
そこを踏襲している物語です。

さらりと読むのに良いと思います。^^
ちょっと難しいことがあったときの気分転換にお勧め。^^



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