住野よるさんのデビュー作です。

「LPレコードのジャケ買い」ってのがあるんだから、
「本の表紙買い」ってのがあってもいいんでしょうね。
本屋さんで見て、一目ぼれしました。
(まぁ… 結局は買わないで、図書館で借りて読んでるんですけどね (TOT) )

淡いブルーの空の下、満開の桜が咲いていて
その桜を遠景に置いて、手前の欄干から身を乗り出すように景色を見てる女の子と
女の子から少しだけ離れて同じ欄干に寄り掛かって本を見てる男の子の絵。
そんな穏やかな春の風景… 心の奥をくすぐられるように好きな色彩の絵です。

で、そんなのほほんとした絵に
『君の膵臓をたべたい』
という、なんとも猟奇的なタイトルがど真ん中にあります。
内容はタイトルから連想されるようなエグイ話ではなく、
表紙絵の持つようなどこか ”ふわっ” っとした雰囲気の話でした。

とは言え。
ハッピーエンディングではありません……

所謂、難病ものの話で、青春譚だったりするので、
泣かせる話としては、定番と言えば定番です。
ただちょっと違うのは、主人公2人の関係性… かなぁ。

ちょっとすぎるほどににぎやかな女の子と
人には根暗と呼ばれちゃいそうな感じの男の子。
物語はほぼ男の子のほうの視線で進んでいきます。
2人はクラスメートなんですが、
物語が始まる前までは恐らく、ただ単に同じ教室で勉強する人。
くらいの認識しかないんです。
でも、男の子がある日病院で拾った1冊の本が2人の運命を撚り合わせていきます。

文庫サイズのそれは、実は本ではなくて
女の子の日記帳のようなもので、そこには彼女の秘密が…
曰く、彼女は不治の病だと。余命宣告されているのだと記されていました。
そこから、物語の歯車は回り始めます。
恐らく、ものすごく大きな音を立てて。

女の子の名前は、早々に分かります。
山内桜良。
けれど、男の子の名前はほぼほぼ最後まで出てきません。
勿論、クラスメートから男の子は話しかけられるんですが、
文中、その呼び名が変わっているんです。
それは彼が想像する ”クラスメートたちは自分をどんな存在だと思っているのか?”
という感じ方で表現しているから。
例えば、「おとなしい生徒」くん、とか「噂されてるクラスメイト」くん
なんて呼びかけられていると認識している。

このこと一つとっても分かると思うんですが、
彼は、人づきあいが苦手な人種なんです。
人と距離を置きたがる人。
なのに、秘密を知ってしまったということで(彼の過失じゃないけど~)
桜良の行動に否応なく巻き込まれ、振り回される羽目になるんです。

ラストは、ちょっと意外なことも起こるけれども、
収まるべきところに予定調和的に話は収まります。

物事の捉え方も、好みも、行動パターンも
何もかもが正反対と言ってもおかしくないほどかけ離れている2人。
それが、
恋愛感情でなく、憎悪でなく、友情でもない感情で結びつく。
うーん。理屈じゃない。
これが、本当に ”引かれ合う” ってことなのかな…。
もしくは、 ”魅かれあう” か。
そして、「君の膵臓をたべたい」という言葉がすんなり腑に落ちる頃には、
物語は終結してしまいます。

優しい物語です。誰にでも勧められるような。
実写化… されるんじゃないかな、遠くない未来に。







にしても。
青い春、という言葉が頷けるような時間と空間と、
ちゃんと終結していく筋立てと。
明るいだけのラストじゃないけれど、
かと言って、人の心を暗澹とさせるようなことのない物語。

なのに。
なんか、ものすごく傷ついた気がします。
打ちのめされて、心が痛い。
なんでだろ?

相変わらず、しょうがないなぁ、私  σ(^^;)


Secret