2015.06.07 ひみつ
1つ前の記事の作家さんと同じく福田隆浩さんの作品です。

『ふたり』より1歳年下の女の子 ”岡崎明里” ちゃんが主人公。
この明里ちゃん、田舎の小学校から都会の小学校へと引っ越してきました。
不安いっぱいで、9月、登校初日を迎えるんですが、
担任の先生もてきぱきしているし、クラスメイトはフレンドリーで
”あぁ、杞憂だったな” と安心するところから話は始まります。

ですが。
あぁ、よかったな。幸せだな。 じゃあ、物語にはならないわけで。
転校してきて早々、転落事故で入院しているクラスメイトの存在を知ります。
ここからが、怒涛の展開!!!

『ふたり』でも出てきた ”いじめ” の問題が
『ふたり』よりも前に書かれたこの作品ではメインテーマになっています。

転校生が嵐を巻き起こすと言うのは、よくあるパターンですが
この話も、まさにその形を踏襲。
イジメに対し、ビックリするほどの&ドン引きするほどの
真っ向勝負を仕掛けます。
真っ向勝負過ぎて、反感を買い、やがては自分が標的になっちゃうんですけどね。

じゃあ、この明里ちゃん、最初から正義感の強い、性格の強い子なのか?
と言うと、そういうことは全然なく。
朱に交われば… のタイプだということを自分でも認識しています。
それでも、イジメの真実を暴いていく。
それは、クラスメイトのみならず、先生からも煙たがられる行為。
このへん、リアルです。
先生と言えども人間ですからね。
痛いところは突かれたくないって生態が、しっかり描かれています。

明里ちゃん、自分が弱い人間で、ずるい人間で、汚い人間だと
知っているからこそ出来る真実の暴き方をします。
それは、読んでいるこちらの方が、心細くて泣きそうになるほど。

その結果、陰湿な悪意が明るみにさらされ、
学校としても対策を迫られるようになります。
でもね… です。

このイジメがあったクラスを半年前に持っていた先生を
明里ちゃんが訪ねて話をするシーンがあるんですが、
”子ども” と言う存在を正確に語っているように思います。
少なくとも、私にはそう思えた。
(子どもが、純で無垢な存在なんて幻想だと私は常々思ってますから~♪)
そして、イジメの事実が明らかにされた後の学校の対応と
その対応の効力のなさもリアルです。
(全くないと言っているのではないですよ。念のため)

物語の中、心が折れた状態で転校する前の友だちに
会うシーンがあるんですが、
そのシーンがとてもいいです。
その会った友だちが応援してくれる言葉は心を打ちます。
イジメはイジメらた方が傷つくのは勿論、
イジメた方も自己嫌悪を抱いて生きていかなきゃならないと。
優しい言葉です。
人の善性を信じた言葉ですね。
明里ちゃんは、この言葉に背中を押されて頑張ります。

『ソロモンの偽証』は映画も本も未見ですが、
少し、設定が似ているかな???? もしかして。

一応、ハッピィエンディングです。
でも、本質的なことで言うと、ハッピィエンディングは
ありえないんだろうな…
人間って、業が深いと思います。




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