2015.06.06 ふたり
福田隆浩と言う方の書かれた児童書です。
2014年度、5・6年生の課題図書になっていたようですね。

成程、主人公の2人は6年生で、
自分と同い年か1つ歳上であれば読み手も感情移入しやすいだろうと
思われます。^^

章は全部で20章。(1章1章はだからとても短い!)
主人公の一人は男の子で准一くん、
もう一人の主人公は、女の子で小野さん。
二人はクラスメイトと言う関係で
物語は一人称風に交互にこの二人の目線で進んで行きます。

物語は秋も深まった6年生の教室で始まります。
つまり、もうそろそろ卒業が目の前にちらついてくる頃。
なのに、このクラスはまとまるどころか、学級崩壊しかけている。 ^^;
イジメも横行していますが、担任の先生はそれを知ってか知らずか
対処しきれていません。
イジメの標的は、去年の冬に転校してきた小野さん。
でも彼女、淡々とそのイジメをやり過ごしています。
一方、大っぴらにかばうことはしなくても、
机の中に入れられたゴミをそっと取り除いてあげるくらいはする准一くん。

接点と言えば、ただ単なるクラスメイトってだけだった二人に転機が訪れます。
二人とも読書が好きで、月森和(つきもりかず)と言う作家のファンだと言う
共通項が見つかったから。

単行本が安価じゃないのは、誰もが知るところ。
そして、好きな作家の最新作は、文庫になるのが待ちきれない!
と言うのも、本好きなら誰もが経験済みでしょう。
月森和の最新刊を准一はいち早く図書館で借りることが出来たんですが
出遅れた小野さんはまだ読んでません。
ファンの多い作家の作品なので、図書館で予約を入れたとしても
実際読めるのは、1か月以上後になりそうでした。
また貸しは勿論禁止されています。(貸出有効期限内であってもね!)
でも、読みたい気持ちはよく分かる。
准一は、では、図書館で自分が横にいると言う形で読んだらいいと
提案してくれます。
小野さんはそのアイデアをありがた~~~く受け入れることにしました。

そこから始まる淡い淡い想い。
まだ、”恋” と呼べるほどはっきりした色は帯びていません。
帯びてはいませんが、だからこそ、大人の私から見ると
ほほえましく、温かな気持ちになれるんです。

ただ、並んで本を読むだけ。
それだけのことなのに、ちょっとドキドキして、ウキウキして
この時間が続けばいいと思う二人が初々しいです。

でもね。幸せなだけじゃないのが人間の生活です。
准一くんのお家は、離婚して母子家庭。
お父さんは今でも電話してきたり、メールしてきたりして
准一くんとの関係が切れているわけではありませんが、
どうやら、再婚しそうな感じ…
公立の中高一貫校を狙っているので、塾三昧の日々を送らざるを得ず
お母さんも、少し神経質かな。

一方、小野さん宅は、少し怒りっぽくて頑固なお父さんと
天然で… 耳の聞こえないお母さんと暮らしています。
嫌がらせに悩む日々ですが、それを表に出さないように
両親にも心配掛けないように頑張っているんですが…
ま、辛いよね。何とか泣かずにいるけれどもね。

ひょんなことから、月森和が別のペンネームで
全く別のジャンルの作品を発表していると知った二人は
月森和の作品の中にヒントがあるというそのもう1つのペンネームを
一緒に探すことにします。
このへんのくだり、一緒に探してる気分で、ちょっとワクワクしちゃいます♪

果たして、もう1つのペンネームとその作品に辿り着けるか?
嫌がらせはどうなる?
2人の淡い関係はどうなっていくのか?
そんなどこにでもありそうな普通の日常を描いていく作品です。
でも、だからかなぁ。優しい気持ちになれる。

作品の中に、”人は変わってしまうのか?” と言う問いが出てきます。
人は変わるのだと、准一の母が言い、
価値観から何から変わってしまうのか? と准一が怯え
変わるところもあるけれど、全てが変わるわけじゃない
安心して自分自身を歩いて行ったらいい、と作家の先生が
フォローしてくれます。

う―――ん…
身も蓋もない、残酷なことを言っちゃうと
人は変わりますよねぇ。
ビックリするくらい、ガラッと。
それも、短期間であっても。
それに傷ついてしまうこともあるよなぁ…。
願わくば、この主人公の2人には、お互いを傷つけるような
そんな変わり方はして欲しくないなぁ。
結構それって、難しいんだけどね。

長くなっちゃった。^^;;;
課題図書になっただけあって、5,6年生くらいの子が
さらっと読むにいいかも。



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