2015.03.18 かないくん
谷川俊太郎さんが文を
松本大洋さんが絵をつけられている絵本です。

えっと…
明るく楽しいお話ではありません。
その話に合うように、絵の色彩もかなり抑え気味です。

扉絵がトレーシングペーパーと普通紙の二重構造になっていて
トレーシングペーパーの方にはクラスメイトとそのランドセルや筆箱が
普通紙の方には教室の机と椅子が描かれていて
トレーシングペーパーをめくると、教室の音がすっとなくなるような
印象を受けます。
誰もいない教室って、ガランと寂しげです…。

あ、そうなんです。その扉絵に象徴されるように
”いなくなる” こと、が主題の絵本なんです。
いなくなること = つまりは”死” の。

ホスピスに入るような状態のおじいちゃんが
ずっと昔のことを思い出して、絵本にしようとしている物語。
クラスメイトだった金井君が、学校を休みがちになり
休学するかもしれない事態になり、
そうこうしているうちに、亡くなってしまったことについて
物語を紡ごうとするんですが…

「死」とはなんなのか?
消えてしまうことなのか? 忘れ去られてしまうものなのか?
恐ろしいことなのか?
おじいちゃんは、自分の死期が近いことを察知して、
死と向かい合おうとしています。
重々しく捉えるのも、軽々しく取り扱うのも違うと感じているおじいちゃん。
けれど、では、どうしたらいいのか考えあぐね、
物語は止まったまま。だから、絵本が完成しない。

自分が死んだら、死がどんなものだか分かるから
続きが書けるよ、と孫娘に話しています。
そして、それからしばらくして、
それこそ、蝋燭の灯が消えるように静かに亡くなって行きます。

普通、「死」と言うのはすべての終わりのようなイメージですが
この作品の中、孫娘は「始まった」と感じています。
おじいちゃんの訃報をメールで知ったとき
孫娘はスキーをしていて、だから、雪景色の中にいるんですが、
それが不思議な明るさをかもしていて、
あぁ、始まりなのかぁ…と ぼんやり印象付けてくれます。

静かな静かな本です。
読む人によって、かなり違ったものが見える本。
読み終わってから、ボディーブローのように
あとからじわじわ”何か”がきます。



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