今をときめく作家さんの一人と言ってもいいですかね?
池井戸潤さんの小説です。

第一印象としては
”単刀直入”な作品だな~でした。
飾りをそぎ落として、ど真ん中から始まる感じ。
物語は好きだけど、ちょっと活字から離れちゃってるかな~
って人にもだから、読みやすくお勧めです。

にしても…
怖っ! 怖いわ~~ この話!!
何が起こるか分からないご時世、
(って、今に限ったことじゃないか・・・ ^^;;)
全然絵空事って感じじゃないし、他人事じゃない。
何かきっかけがあったら、即、この話そのものの事態になりそう。

話は、主人公の倉田父さんがある夏の夜、
割り込みで無理やり電車に乗ろうとした男性を
注意したことから始まります。
勿論のこと、非は相手にあるわけなんですが
それを相手が逆恨みして、嫌がらせが始まります。
倉田を尾行して自宅を特定した上で…。
いやーーーーー 粘着質っ!
でも、ありそうでしょ? 実際。

息子の健太はそれを「相手にとってはゲームなんだ。」と
分析(?)します。
そうなんだよなぁ。 憂さ晴らしの一種。
あまり罪の意識なく、ね。
その点、ゲームと言う言葉はとても的を得ています。

でも、悪意はそれだけじゃない。
プライベートの嫌がらせと並行して、
会社で不正の気配。
その不正を阻止すべく奮闘するも却って疎まれてしまう理不尽。
話は、この嫌がらせに関する流れと
会社での不正の究明の流れの2本の柱で構成されます。

両方とも、サスペンスちっく。
ごく普通の、どちらかと言うと温厚で小心者の倉田父さんが
否応なしに巻き込まれるサスペンスです。
ちょっと雰囲気は『名もなき毒』に似てるかな。
こちらのほうが、実際に起こりそうなシチュだけど。

ネットは匿名の世界と言われていますが、
なにもネットだけに限定されないですよね。
満員電車の中、乗り合わせていても名も知らない他人。
ナンバーディスプレイが一般的になって久しいですが、
まぁ、電話も匿名性があります。
郵便物にも匿名性があります。
自分の身を安全圏において、その安全圏から人を傷つける。
卑怯なんですが、卑怯ってカッコ悪いんですが
それよりも実を取る!的に、匿名のまま武器を繰り出す。
そういう人間のいやらしさがよく出てる作品です。

2本の柱は、両方ともちゃんと回収されます。
これは、どうなったんだよ!?というもやもやは残りません。
もっとも、この件が片付いたからと言って、
同じような事件は無限に有るって雰囲気は
ちょっと残してはいるんですけどね。

とにかく、さらりと読みやすい文章です。
電車のお供にお勧めできます。
あ、でも、短い通勤時間の場合は先が気になっちゃって
時間、足りないじゃん!(怒)ってなるかもしれませんが。


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