2014.06.27 何者
『桐島、部活やめるってよ』
と同じく、朝井リョウさんの作品です。
『桐島・・・』は小説すばる新人賞受賞作品ですが、
こちらは、直木賞受賞ですね。
両方とも大学在学中の執筆だとか。
才能ですなぁ…。

『桐島・・・』は高校内でのヒエラルキー(?)を描いた作品で
その無意味な閉塞感にグッタリしてしまったけれど、
今度の舞台は、大学。
語り手の年齢がちょっと上がった分、露骨な値踏みがなくなったからか、
『桐島・・・』より読みやすかったです。

とは言え。
毒を含んでいることには変わりなく。^^;;
中てられますねぇ、読んでいる最中は。

”就活”が厳しいのは、ここ最近の傾向ですが、
語り手とその仲間たちは、只今絶賛”就活”中。
話の内容は、各々が就活と言う行為を通じて
”自分は誰なのか”と七転八倒しながら探していく過程
と、読んでみました。

自分にしかできないこと
自分だからこそ出来ること
そういうものがあったらいいと、誰でも思いますよね。
自分は、この世で唯一無二の貴重な存在なのだと
そう思いたい。
そういう心理を、コンプレックスなんかも交えながら
話は進んでいきます。

ペーパーテストによる入試に受かるために
塾なんかに通って受験勉強することは、確かに戦いだけど、
就職活動も戦いなんだなぁ…。
別に同じ会社が希望でなくても、
なんか、仲間が先に内定をもらうと、負けた気がしてしまう。
そして、何かしら、上げ足とったり、粗探ししてしまう。
それが、醜い行為だと自覚していても、
自分の奥底の黒い感情に勝てなくて。

その黒い感情は、表立ってめちゃくちゃアピールされないのだけれど
本としては、そこを文字にしているので、
なかなかエグい…。
勿論、普段はもうちょっと善意の人だと思うんだけど、
とにかく、就活で落とされ続けることで、追いつめられ
人格が崩壊しかかっているみたいなんだな。
確かに、落とされるという経験は気持ちのいいもんじゃない。
自分自身の存在を丸ごと否定された気になるもんね。
その感覚を繰り返していたら、
そりゃ、精神的に参っちゃうよ。

この『何者』は、その参った精神状態で吐かれる悪意を
殊更取り上げるわけですからね。
エグくないわけがない!

最後、語り手は少しだけ開き直ることができて、
読み手も、少しだけほっとします。
一筋の光ありきです。

ではあるんだけど…
読んでいる間、悪意未満の悪意にぐったりします。
それは、たぶん、私の中にもそう言う悪意があるから。
まぁ…、追い詰められた状況にないので、
ここまで酷くはないですが!!(と、思いたい)

自分を鏡に映してみたい人にはお勧めかもです。



Secret