2014.01.08 狐笛のかなた
『守り人シリーズ』の作者、上橋菜穂子さんの作品です。
書かれたのは、多分こちらのほうが先です。

しかし、この作品…
なんだ!? なんなんだ!?
序章の一行目から、


もう・・・・・・・・・・・・


うっ!好き過ぎるっ!!!


風の吹く速度、その風の匂い、暮れなずむ光の感じ
まざまざ、です。
そして、その風景の中を走り抜ける1匹の仔ギツネの疾走感。
鮮やか過ぎて眩暈がします。

よく”掴みはOK”なんて、安っぽい表現を聞きますが、
なんかもう、そういうレベルじゃなく
のっけから精神が異世界へ吹っ飛んで行く感覚です。

そして、そうやって掴まれた心をそのまま一瞬たりとも放すことなく
最終ページまで連れて行かれます。
読み終わって、詰めていた息を吐き出す感じでした。
(あぶない、あぶない。下手したら窒息死するわ~ 笑)

主役は、小夜と言う女の子かな。それと、野火と言う狐。
小夜は、呪者の家系の末裔ですが、その術の全てを知りません。
彼女の母親が故あって、彼女が幼女のころに亡くなってしまった
せいもあるし、
もし、存命であったとしても、母親は伝えたがらなかった
であろうから。
一方、野火は霊狐(れいこ)。
人間の棲む世界とカミガミの世界の間の世界の生き物です。
本来ならば、人間よりも格上の存在ですが、
時代が下るにつれ、人間に命を握られて使役神のような
扱いになっています。

この二人が、領土争いに巻き込まれていくんですが、
立場的には、敵同士…。
だけど、相手はお互いに命の恩人で…
大切な人(?)で…
って、もう、この設定が既にオーソドックスに悲劇的です。

想い合っているのに、立場は仇同士と言うと
『ロミオとジュリエット』
をすぐに思い出しますが、
なんだか、ただ勘違いして、ただ暴走して
その結果、死ぬ事になっちゃった~的な軽いストーリー
って印象なんですよね。失礼だけど。
比べて、
事態を理解して、その上で自分の命を賭ける覚悟の
ストーリーは『ロミ・ジュリ』をはるかに凌駕します。
(あ、勿論これは私にとってはと言う但し書きがつきますが)

かつて、"I love you." を
「死んでもいい」と訳した文豪がいたとか。
それが正確かどうかは別として、
この物語は、全編そういう思いが貫いているように思えます。

まだ気分が高ぶったままなので、
ちゃんと感想になってないかも…。
好きなものほど、思い通りの言葉にならなくて
もどかしいことこの上なしです。(TT)

あ~、誰にでも勧めてあげたい一冊です…。


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