2013.09.29 ハルさん
藤野恵美さんの作品で
ミステリ・フロンティアと言う推理小説の叢書…
のようなんですが。

な、なんだ!?
これはなんなんだ!?

こんな、ふんわり優しい推理小説があっていいのか???
(^^)♪♪♪♪♪

推理する場面は確かにあるけど、
推理劇が主役じゃないミステリ。
殺人はおろか、
如何なる犯罪らしい犯罪も出てこないミステリ。

推理は… そう、日常の中で自分も普通にやってるような
”どうしたらいいだろう???”
って、考えるようなレベルの事ばかり。
勿論、当事者にとっては重大な事だったりするけど。

小説の始まりはお墓参りのシーンから。
ハルさんが奥さんに娘が今日結婚するよと
報告するところから始まります。
そこから、結婚式会場に向かうハルさん。
結婚式会場に向かう道の途中から、
娘の風里(ふうり)ちゃんとの思い出が
走馬灯のように甦ってきます。

幼稚園児の頃の風里ちゃん。
小学生の頃、中学生の頃、高校生の頃、
そして、大学生から現在の風里ちゃん。
順を追って回想されるので
まるで、ハルさんといっしょに
風里ちゃんの成長を見守っているかのような気になります。

風里ちゃん、いい子なんです。
しっかり者だし、我が儘言わないし、
行動力もあるし、頭もいい。

対して、お父さんのハルさんは、
人形作家さんなんですが、
そういうアーティストにありがちだと思われるような
どっかふわふわ浮世離れした人。
でも、とっても優しくて
風里ちゃんのことを大事に大事に愛していることは
もう、疑いようのないことで、
その思いっぷりが微笑ましくて
温かな気持ちになるのです。

同時にこのハルさん、今は亡き奥さんの瑠璃子さんのことも
とても愛していて、それもとても素敵なのですよね。

小説の中、風里ちゃんは思春期に差し掛かると
しっかり反抗期になったりして、
お父さんをちょっと遠ざけようとしたりするんですが、
でも、こういうお父さんだったら
ずっと好きでいちゃうだろうな…。
うん。嫌いになれないよ。
完璧な父親とは程遠いと思うけど、嫌いになれない。

そうそう。
脇役ではあるけど、お父さんの人形を取り扱ってくれる
浪漫堂のご主人も、”類は友を呼ぶ”的な人で
商売そっちのけでハルさんの人形を取り扱ってるし
風里ちゃんのことも、可愛く思ってるしで
この人が出てくる場面も、なんとも幸せな気分になります。


最後のシーンは言うまでもなく
結婚式のシーンだったりするですが、
風里ちゃんの選んだ人がまた素敵な人で♪
ハルさんとは、正反対のようなタイプ???
でも…ってところが、また良かったりします。

”ありがとう”と”おめでとう”で
埋め尽くされるページでお話が終わっていきます。
ひたひたと温かなものが胸を満たしていくラストです。

ミステリとして読もうと思うと
物足りないかもしれませんが、
優しい物語に身を浸したい人にはぴったりです。
秋の夜長にお薦め。
メッチャお薦めです。



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