バカボンさんじゃないですよ~。
『はかぼんさん』です。
さだまさしさんの著作の一冊です。

あちこち旅をなさっている最中に
小耳に挟んだ”言い伝え”や”風習”や”民話”を
上手くアレンジを施して書かれた短編集、と
捉えていいのかな。多分。

『古事記』も『日本書紀』もちゃんと全部
読んだことはないし、
殊更日本史に詳しいわけじゃない私。σ(^^;)
でも、だからこそ
この、何と言うか、地面に近い不思議(とでも言えばいいのか?)
に心引かれて止みません♪

もしかしたらそれは、日本人としての血がそうさせるのかも。
不思議の民の末裔である血が。
ね?

残念ながら、鏡で自分の体を確認しても
額に角やどんな印の痕跡も、背中に羽根の痕跡も、
お尻に尾の痕跡も、見つけられませんでしたけれども。

分かってる、分かってる。
静かな空気を好んで、如何なる祭りの非日常的空気をも嫌う私が
妖精の血を欠片も引いていないことくらいは。

でも、根が素直ってか、単純なんで
確認せずにいられなかったの。

さて、ちょっとだけでも中身に触れちゃおうかな。

『はかぼんさん』
表題作ですね。
たった30ページほどの話ですが、
最後のページでゾクゾク… と肌が粟立ちました。
ホラーとはまた違う怖さ。
直接的な暴力とも違う怖さ。
正確に言うと、怖いって言うのともまたちょっと違うのだけど。
ん~ なんて表現したらいいのか分からない。


『夜神、または阿神吽神』
たぶん日本人は、同音異義語をよく操る民族だと思うんですが、
(未だに駄洒落が絶滅しないもんね!)
それって、もしかして、物凄い能力なのかも…。

努力が、必ずしも報われるものだとは限らないけれど、
それでも、真っ直ぐ生きることに意義はある!と
そっと囁いてくれるような”人ならぬものの気配”って
なんかいいな。


『鬼宿』
ん? なんて読むのが正しいんだろう?
おにやど? きしゅく? たまほめ?
最後までるびがふられることがなかったので分からないなぁ。

”鬼”については、それぞれの地方で、
色々な解釈のされ方をしているように思います。
だから、節分のときに追われる鬼も様々で
節分のやり方も地方の色が濃く出る行事かもしれません。
この話の中でも…。


『人魚の恋』
古今東西、人魚の恋は叶わない、かぁ…。確かに。

日本語だけれども、まるで外国語のような津軽弁と
セピア色した時間を小道具にして
淡い恋心と一緒に夢と現の間を歩くようなお話でした。
不思議は不思議のままで。
最後まで真相は明かされないまま終わっていく…。
結局、どっちだったんだろうな?

それにしても。
人の心を一瞬にして捕えてしまうほどの美貌って!!
いや多分、見掛けだけのことじゃなくて
持っている空気感と込みなんだけどね。
いいなぁ~、持って生まれてみたかったな。
もっとも
如何にたくさんの人に想われようと
”かの人”に想われなければ、美貌など虚しいだけだけど。


『同行三人』
舞台は四国の山奥…。
四国って、どことなく独特なイメージがあります。
お遍路さんの地だから…ってこともあるのか???
他にも寺院がたくさんある場所はあるでしょうにね。
なのに、どーーーっか色濃く霊的な感じがするんですね。
しかも、その山奥。その舞台だけで物語的です。
そして、抱いたイメージどおりの話が展開していきます。

オープニングは、語り手がピシリと叱られる場面から。
叱られたにも拘らず、不愉快と感じず、
却って、自分の何がいけなくて叱られたのか
好奇心が抑えきれない語り手。
それを探っていくうちに…と言うストーリー。
「縁」と言う言葉を強く意識します。


『崎陽神龍石』
この短編集の中で、最もお伽噺っぽいかもしれません。
ことのきっかけは、とある人が持ち込んできた古書。
書いてあることの真偽も、価値も何も分からず
もたらされたその古書に書いてあった龍の卵の伝説。
嘘っぽ~~い♪と思っても、
宝の地図があったら、思わず辿ってみたくなるのは、
(この場合、地図じゃないんだけど)
どこかに幼心を残しているからなのか、
それとも、人間誰もがそうなのか。

半ば以上、単なるお遊びと知りつつも
龍の卵を探しちゃう茶目っ気が好きです。^^
そして、それらしいものを持ち帰ることが出来て、
何となく飾っちゃうのも。

そこで終わっても、別に文句はなかったけど、
どうせだからね。(笑)



おまじないに絶大な力があるとは思えないし、
特にジンクスも持ってない。
迷信も特に振りかざしたりしないけど、
心のどこかに息づいている…
絶滅しないでしぶとく生き残っている…
そんな”不思議”を愛おしく思います。

ド派手な奇跡よりも、
ささやかな不思議がいい。
私は、ね。^^




Secret