2011.09.13 angel voice 8
第8回目になりました~。

『ロミオとジュリエット』は
たった3日間の話だと聞きましたけど、
このおはなしも、実は、短い時間の中に起きてます。


--- angel voice 8 ---


 気持ちが落ち着いて、ふと思い出した。
そうだ、この優しい迷子の天使、自分の世界に帰してあげなくちゃ。
でも、そう考えることで、チクリと心が痛んだ。
だから、そっと自分に言い訳する。
「帰してあげたくたって、その方法が分からないじゃない?」と。

 でも、天界が迷子を放っておくなんて、ありえなかった。
自分に言い訳してるまさにそのとき
部屋の呼び鈴が鳴って、ドアが開けもしないのにすうっと開いた。
ドアの外には、見知らぬ人、いや、天使。
だって分かるよ。大きくて真っ白な翼が背中にあるもの。
その新たに現れた天使が礼儀正しく頭を下げる。
「おはようございます。」
「お、おはようございます…。」
うろたえながら、私も頭を下げた。
迷子の天使と同じくらい綺麗な人だった。
でも、すみれ色じゃなくて、知的で大きな茶色の瞳。
大きな瞳はくるくると動いて、すぐに迷子の姿をとらえたみたいだった。
「仲間が、ご迷惑をお掛けしまして。」
私は返事が出来ない。単に肯くことですら。
「ホラ、迎えに来たよ。一緒に帰ろう。」
奥の天使に投げかけられた言葉に一瞬、息が止まった。
「行っちゃう、いなくなっちゃう…。」
身体の中側に走る激しい衝撃。
え、今の今まで帰してあげなくちゃと考えていたのではなかったっけ?
なのに衝撃の激しさに、自分で驚いてショックを受けた。

 「誰?」
「おれ。あ、落ちたショックで忘れちゃったか?」
「うん…。」
「そっか。お前の仲間だよ。一緒に仕事してたんだ。
いつまでも、姿を現したまま下界にとどまってちゃだめだ。
もう、帰らないと。
仲間たちも、お前を待ってるよ。帰ろう?」


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