2011.07.07 月と蟹
『光媒の花』と同じ…
と、言うよりも
『月の恋人 -Moon Lovers-』と同じ
と言うほうが通りがいいのかな~。
道尾秀介さんの作品です。

舞台は、たぶん
そんなに田舎でもなければ、都会でもないと言う
中途半端な海辺の町で、
(もしかしたら、私の住んでいる場所と
そんなに遠く離れていないかも)
そこの小学校に通う小学5年生3人を
話の中心に据えています。

語り手は、その3人の中の1人、愼一。
あとの2人は愼一の親友の春也と、
クラスで唯一、愼一に話しかけてくる女の子鳴海。
この3人の関係の設定が既に微妙で危ういです。
色んな事情やら、感情やらが絡み合って、
ストーリーが展開していくわけなんですが、
危うすぎて、痛々しいんですよね。

3人でやる(最初は男の子2人だけでやってた)お遊びは
神さまに近い子どもらしい残虐で、グロテスクな儀式。
子どもの頃には、何かしら生き物をなぶり殺しにする経験を
するものらしいけれど、
ホント、グロいです…。

大人がイメージする子どもって
柔らかな心で、天使みたいのを想像しがちですが、
そう言う子ども像を想像する大人って
自分が子どもだった頃のこと、忘れてるんじゃないかな。
私は、この笑いながらヤドカリの虐殺をする子どものほうこそ
本来の姿のように思えます。
まぁ、ちょ~~っとデフォルメしすぎな気はしますけどね。^^;

ヤドカリを神さまに見立てて、
願い事した後に炎でなぶり殺しにすると願い事が叶う。
お遊びではあるんですが、
こう言うのって、ノリと言うか、信心次第って言うか…。
願い事の回を重ねるうち、自分たちの決め事に酔ってしまう。
そして、徐々にエスカレート。
でも、これって、裏を返せば
神さまにでもお願いしないとやってられないような事情を
それぞれが持ってるってことだったりします。

子どもらしい残虐な遊び
子どもらしい自分たちのやってることへの依存
だけど
なにもかも思い通りにならない現実
駄々をこねられるほど子どもじゃない彼らは
一生懸命、自分の感情を押し殺して大人であろうとする。
で、抑えきれずに色々破綻しちゃうんですけどね。

元気はつらつ!! だけが子どもの姿じゃないと
寧ろ、色々制約が多い分陰鬱なのだと知ってる人に
お勧めできる一冊です。