小姫が学校の読み聞かせの時間で
ボランティアの方に読んでいただいた1冊です。
その日、帰ってくると小姫が強行に
「読んで! 絶対読んで! で、感想を聞きたい!」
と勧めてきました。
小姫にしてはこう言うことは珍しいです。

図書館に予約を入れたら、割とすんなり借りられました。
あら、ちょっと拍子抜け…

1992年12月に第1刷です。
文章は、那須正幹さん、絵は武田美穂さん。
那須さんは『ズッコケ三人組』シリーズを書かれている方、
武田さんは『となりのせきのますだくん』を描かれてます。
この二つの雰囲気からすれば、明るい話を想像しがちですが、
全く違う。
重たくて、背筋が寒くなる筋であり、
また、それに合わせたような暗青色を中心に使った絵でした。

太平洋戦争が終わって1年が過ぎた9月から話が始まります。

山間の小学校である男の子が粘土細工の時間に作ったのは、
神さま。
ずんぐりむっくりの形で、頭には角、口からは牙が上向きに2本。
とても幸せを振り撒いてくれるような
優しい神様には見えません。
男の子曰く
「戦争を起こしたり、戦争で金儲けするような
悪いヤツをやっつけます。」
と言う神様で、イメージ的には不動明王さんかな。

やがて時は流れ…
山間の小学校は廃校になり、男の子の作った神さまも
今やガラクタと一緒に忘れ去られた身。
でも、この忘れ去られた神さまが目を覚ますのです。
一つの疑問を胸に抱いて、男の子に会うために。
小さな粘土細工だった神さまは巨大化し、
歩くたびに建物をなぎ倒し、道路を割り
電線を引きちぎり、歩いていきます。
その大きさ故に、歩くだけで最終兵器のような状態で。

道の先、神さまは壮年になった男の子を見つけます。
神さまが問いかけるのは、
「もう、ぼくは、いなくなったほうがいいのかなぁ。
ケンちゃんは、昔みたいに、戦争が嫌いじゃないみたいだからね。」
って、悲しい言葉。
どうしてこんな質問になるのかって言うとね?
ケンちゃんは今や武器商いの社長さんに収まってるからです。

ケンちゃんは、自分は戦争を憎んでると言いながら、
兵器の実験を人で行い、その威力を試します。
より強い兵器を作ることで、平和が保たれるんだと
うそぶくんです。
そして、粘土細工が歩いたことで壊されたものを
哀れむような言葉を吐いて、責め、
粘土細工の神さまを抹消することに成功します。

そして、最後のページです。
そのページの10行すべてが、余りにも怖い。
ケンちゃんになにがあったのか、知る由もありませんが、
ここまで人間は、心変わりし、残虐になれるのかと
真っ暗な気持ちになります。
ケンちゃんが消してしまったのは
最後に自分の中に残っていた良心だったんだろうと、
文字と絵を見て実感します。
歪んだ街並みの絵と、晴れ晴れしたケンちゃんの後姿が
読み手に絶望を連れて来るのです。

聞き手が6年生だから、理解できるのではなかろうか?と
たぶん、選ばれた絵本だと思うんですが、
いや、なかなかに難しい本だと思います。
しかも、漢字に多くルビが振ってあるのを見れば
3~4年生から読めるようになっていそう。

大事なことなんだけど、若干これを中学年で読んでもいいものか…
まず、人間の矛盾点を理解できるかってところが
既に怪しいってのもあるけれども、
人間が実にエゴイスティックな生き物だって
分かってしまうには、ちょっと早くないかな…。

読み手としても、心に痛く、心乱れる物語ですが、
小学生の親としても、色々考えて心揺れてしまう作品でした。

ただし。
高校生の大姫には、読んでもらいたいなぁ。
大姫は、戦争ものは、怖がって見たがらないんだけどね。
(普段から、あまりにもさらっと戦争の話とかするからか、
身近に感じすぎるのかも…。)




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